メニュー

子どもの病気と診療方針

当院小児科で主に扱っている疾患の診療方針を以下に示します。原則として、学会が推奨する診療ガイドラインがある疾患は、その最新のものに準じて診療しています。

小児内科疾患

かぜ、胃腸炎などの感染症

小児の感染症は、症状、年齢、時期、周囲の感染症の流行などをもとに、何が原因であるかを診断していきますが、現在はさまざまな迅速検査が外来でできるようになったため、できる限り原因菌や原因ウィルスをその場で特定できるようにしています。また、発疹や下痢などは、スマートフォンなどで写真を撮ってきてくださると診断の助けになります。必要に応じて感染症の重症度や緊急度を判定するために採血をしますが、当院は結果が約4分でわかる機械を導入しています。かぜや胃腸炎に限りませんが、お子さんと親御さんが一緒に受診できることも、当院の特徴のひとつです。

小児喘息

小児喘息は、「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン」に準じた治療と予防を指導しています。小児喘息について正しく理解していただくとともに、吸入ステロイドの効果がしっかり得られるよう、正しい吸入方法についても指導しています。また、発作時には吸入器をしばらく貸し出し、通院の負担を減らすようにしています。台数は用意していますが、不足している場合があります。

便秘

便秘は、田村剛医師の専門分野のひとつです。大学病院で便秘外来を担当していたこともありました。4,5日排便がない状態が続くと便秘ですが、たとえ3日に1度でもすっきりする感じがあれば問題ありません。一方、毎日排便してもコロコロで少しずつしか出なかったり、排便に時間がかかり痛みや出血を伴ったりする場合は、便秘の可能性が高いと思います。便秘の治療は、内服薬が奏効しますが、坐薬や浣腸などを使ってでも排便を促すことも重要です。
新生児の便秘もご相談ください。

その他の小児内科疾患(小児生活習慣病など)

長引く咳、頭痛、腹痛、嘔吐、下痢などご相談ください。
また、杉並区小児生活習慣病予防検診結果で異常(肥満症、高脂血症など)があった患者さんには、管理栄養士による栄養相談も行っております。

小児皮膚科疾患

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、日本皮膚科学会の「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」に準じて治療しています。治療には、原因除去、保湿剤などによるスキンケア並びに適切な強さ・量のステロイド外用薬を使用することが重要です。治療を開始してもアトピー性皮膚炎が改善しない患者さんの中には、十分な量の外用薬が塗られていなかったり、皮疹が完全に改善する前に中止しまったりしている場合があります。ステロイド外用薬に対する誤解を解き、アトピー性皮膚炎の子を持つ親の立場で、患者さんにご納得していただく説明を心がけています。寛解と増悪を繰り返し、すぐに治る病気ではありませんが、粘り強く治療していきましょう。また、症状が重い12歳以上のアトピー性皮膚炎の患者さんに対しては、JAK阻害薬(リンヴォック)も使用しており、良好な診療実績を残しています。
日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎のQ&Aをご覧ください。
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa1/

乳児湿疹

近年、乳児湿疹と食物アレルギーには強い相関関係があることがわかってきました。乳児湿疹の治療を早期に開始することでその後の食物アレルギーの発症をかなり防ぐことができます。早めにご相談ください。

にきび

にきびも、日本皮膚科学会のガイドラインに準じて治療しています。ガイドラインの中心となるアダパレン等の外用や、抗菌薬の外用(内服)が効果的です。お気軽にご相談ください。

その他の小児皮膚科疾患

とびひ(伝染性膿痂疹)、みずいぼ(伝染性軟属腫)、あせも(汗疹)など子どもによくみられる皮膚疾患も診ています。いぼ(疣贅)に対しては、液体窒素による治療も行なっております。
あざは、レーザーで早期に治療した方が良いこともあるので、子どものあざに詳しい形成外科医を紹介しています。

小児外科疾患

脱腸(鼠径ヘルニア)、陰のう水腫、精索水瘤

脱腸(鼠径ヘルニア)は、足の付け根や陰のうの膨らみを親御さんが発見するか、乳幼児健診で指摘されることにより見つかります。陰のう水腫は、「陰のうが大きくなり、睾丸に左右差がある」などの主訴で医療機関を受診されるか、乳幼児健診で指摘されることにより見つかります。これらは類似疾患ですが、治療方針と治療時期が異なります。お子さんにこれらの症状がある場合は、早めに受診してください。また、他院でこれらの疾患と診断された場合もご相談にのらせていただきます。手術が必要な場合には適切な病院をご紹介します。

でべそ(臍ヘルニア)

でべそは、臍帯輪の閉鎖不全により起こります。多くは自然治癒しますが、2歳になっても治らない場合や美容的に問題がある場合は、手術適応があります。また、自然治癒したとしても皮膚が余ってしまうことがあるので、それを軽減する対処法を赤ちゃんのうちから指導しています。

肛門周囲膿瘍・陰唇癒合・舌小帯短縮症(舌癒着症)

肛門周囲膿瘍(乳児痔ろう)は、生後1ヶ月くらいから1歳くらいまでの男の子の赤ちゃんに多い病気です。肛門の周りが赤く腫れて膿みを持つ病気で、にきびの様に見えることもあります。腫れているところを押すと痛みがあるため嫌がります。治療は、切開排膿(切って膿みを出す)や外用薬の塗布の他に漢方薬の内服を行うことがあります。大人に見られる肛門周囲膿瘍(痔ろう)とは、原因も経過も異なります。

陰唇癒合(小陰唇癒着症)は、左右にある小陰唇が中央でくっつく(癒着する)病気で、膣が閉鎖している様に見えます。新生児早期から乳幼児期にかけてよく見られ、乳幼児健診で見つかることが多い病気です。これらの疾患は、当院の外来で1分足らずの手術を施すことにより、治療することができます。

舌小帯短縮症(舌癒着症)は、構音障害や哺乳障害を示さない多くの症例では手術の必要がありません。お子さんに手術すべきか否かお悩みの方は、ご相談ください。大学病院では、この手術は保険適応ですので、手術が必要な症例はご紹介いたします。なお、当院は、以下の日本小児科学会の報告に賛同します。
http://www.jpeds.or.jp/journal/abstract/105-04.html#09

その他の小児外科疾患

腸重積や虫垂炎など小児外科の病気を患った事がある患者さんが、腹痛や嘔吐・下痢、かぜを引いた場合に安心して受診していただくことができます。

[頭頸部]
  • 耳前ろう孔
  • 副耳
  • 正中頸嚢胞
  • リンパ管腫
  • 血管腫
[胸部]
  • 漏斗胸
[腹部]
  • 臍炎(臍肉芽腫)
[消化管]
  • 肥厚性幽門狭窄症
  • 胃食道逆流症
  • 胃軸捻転
  • ヒルシュスプルング病
  • 直腸肛門奇形(鎖肛)
  • 胆道閉鎖症
  • 先天性胆道拡張症
  • 腸炎 など

小児泌尿器科疾患

包茎

男の子の赤ちゃんは包茎の状態が正常です。しかし、成長しても包皮がむけない、包皮の下に尿がたまる、包皮が赤く腫れて排尿時に痛がること(亀頭包皮炎)を繰り返すなどの症状を伴う場合は、病的な(=手術が必要な)包茎を疑います。包茎が病的なものか否かは、一般の小児科医でも判断が難しく、適切な治療やアドバイスを受けている患者さんは少ないと感じています。包茎のお子さんは、小児外科医か小児泌尿器科医の外来を受診すべきです。治療が必要な場合には、症状により軟膏を使い分けています。手術が必要な場合には、適切な病院をご紹介いたします。また、他院でこれらの疾患と診断された場合もご相談にのらせていただきます。当院では、包茎の他、尿道下裂など子どものおちんちんの疾患全般を扱っています。

停留精巣、移動性睾丸(遊走精巣)

停留精巣は、移動性睾丸も含め、日本小児泌尿器科学会のガイドラインに沿った治療法を説明しています。乳幼児健診などで停留精巣と診断され、大学病院に紹介されてくる患者さんの中に移動性睾丸の方が多く含まれていますし、その逆もあります。この2つの疾患は、手術が絶対的に必要か否かという点で治療法が全く異なります。健診でこれらの病気を指摘された場合は、ご相談ください。また、他院でこれらの疾患と診断された場合もご相談にのらせていただきます。手術が必要な場合は、適切な病院をご紹介いたします。その他、男の子の精巣(睾丸)や陰のうの疾患全般を扱っています。

夜尿症(おねしょ)

夜尿症は、日本夜尿症学会のガイドラインに準じた治療をしています。夜尿症の原因には、抗利尿ホルモンの夜間分泌不足、膀胱容量の不足、睡眠障害、心理的ストレスなどがありますが、器質的な泌尿器科疾患を合併していることもあります。そのような疾患が疑われる患者さんは、大学病院の私の外来で検査するようにしています。夜尿症のお子さんは、治ったあと、自信に満ちたうれしそうな表情をみせます。私が携わったすべての患者さんにそのような笑顔が得られるよう、一緒に粘り強くがんばりましょう。
夜尿症(おねしょ)については、次のURLにわかりやすい説明がありますので、ぜひご覧ください。
https://onesho.com/patient/

その他の小児泌尿器科疾患

胎児診断で水腎症と診断された、膀胱尿管逆流症と診断されている、または小児泌尿器科疾患の術後のお子さんが発熱した場合も当院にご相談ください。当院では採血並びに検尿の結果が約4分でわかるので、発熱の原因が尿路感染症によるものか否かをすぐに診断することができます。尿路感染症を繰り返しているお子さんは、大学病院の私の外来で原因を精査しています。赤ちゃんの発熱の原因としても、尿路感染症は重要です。小児科を専門にしているクリニックには赤ちゃんの尿検査ができる容器があるので、風邪症状がなく「突発性発疹かな」と思われたとしても、尿の検査をした方が良いことがあります。

外科・整形外科疾患

けが

当院は、皮膚の縫合など一般的な外科処置を行うことができます。切り傷や動物による咬み傷・とげが刺さったなどのけが、打撲(うちみ)など診察しています。骨に達している傷や腱に損傷が見られる傷などは、近隣病院の整形外科の先生に処置をお願いしています。

やけど

受傷したら、まずは流水で5分以上冷やしてください。診療所レベルで治療可能な目安としては、皮膚が赤くなる(Ⅰ度)か、水疱ができるもしくは水疱が破れた(Ⅱ度)程度で、範囲が体の一部分に限られており、全身状態が良好で、熱水により受傷した場合とお考えください。これらに当てはまらないようなものは、やけどを専門に診ている病院にかかるべきでしょう。

肘内障

お子さんの手を引っ張ったら、手を動かさなくなった。肘内障の典型例は、このようなものです。ただし、手を動かさない原因には骨折の可能性もあります。肘内障か骨折かは、診察するとわかります。肘内障ではなく骨折が疑われる場合は、近くの整形外科医院を紹介しています。

その他の外科・整形外科疾患

頭部外傷の一次診療も行っています。
症状や疾患によっては、外科で対応できるのか整形外科でなくてはいけないのか判断が難しいと思いますので、来院前にお問い合わせください。

診療ガイドラインとは(東邦大学医学メディアセンターによる)

診療ガイドラインは、医療者と患者が特定の臨床状況で適切な決断を下せるよう支援する目的で、体系的な方法に則って作成された文書です。

ガイドラインは古くから存在していますが、現在主流となっているのは、エビデンスに基づいたガイドラインです。数十人から数万人単位の患者を対象に、特定の薬を飲んだ人と飲まない人で比較し、薬効を確認するなどの臨床試験の結果などから得られるエビデンスを吟味・評価したうえで、どんな治療をすべきか、すべきでないかなどを勧告するものです。エビデンスに基づいたガイドラインは、過去のガイドラインの多くが著名な専門家の意見交換や経験によって作成されていたのに比べ、信頼性が高いと言われています。

ただし、ガイドラインはあくまでも標準的な指針で、すべての患者に画一的な診療を強制するものではないことに注意が必要です。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME